ライブレコーディングを成功させる方法
「ライブ音源はどうやって作られているの?」「ライブレコーディングの方法って?」
アーティストのライブ音源を聴いたときなどに気になった方も多いのではないでしょうか。
今回はライブレコーディングについてのお話です。
もくじ
ライブレコーディング=本番一発録り
アーティストが生演奏し、オーディエンスの興奮や熱狂が入り交じったライブステージに二度と同じテイクはありえません。
今そこで鳴っている音をレコーディングするということは、当たり前ですが「1発録り」をやっていることと同じです。
基本的にやり直しがきかないため、いかにトラブルなくレコーディングできるか事前の準備が重要になります。
エアーマイク録音
客席後方(PA席あたり)にマイクを2本立てて、会場で聴こえている音をそのままステレオ録音する方法です。
クラシックのコンサート会場などではこの方法です。
近年では、高音質なハンディレコーダーなども身近で手に入るようになったので、おなじみの方も多いと思います。
PA卓からの2ミックスLINE録音
ライブ会場のPAスピーカーから出力されている信号を、そのままレコーダーで録音する方法です。
ライブ会場の客席で聴こえている音は、生で鳴っている楽器から直接聴こえる音も加わっているのでその分をマイナスした音(ステージ上のマイクで収音した音のみ)となります。
ライブハウスなどで「LINE録音CD-R」を貰ったりする機会もあると思いますが、中には楽器のバランスがあまりよくないものもあるのはこの理由からです。
もちろん会場によっては録音用に別途バランスをとって収録してくれるところもあります。
マルチトラックレコーディング
通常のレコーディングと同じ様に、全楽器をバラバラにトラックへ録音して、後日しっかりとミックスダウンを行います。
テイクはもちろん一発ですが、音のバランスは後で変更できますし、会場のオーディエンスの歓声もレコーディングしておくことで、結果ライブ会場の臨場感も表現することができます。
演奏の細かい手直しができることも大きなメリットの一つです。
プロのアーティストはどのように行っているのか?
プロのアーティストのライブDVDや、動画などの音声のほとんどは、マルチトラックレコーディングで行われており、後日ミックス作業や編集が行われています。
近藤夏子さんはシングル曲とかでレコーディングやミックスをした関係でオファーをもらったんです。この時は、PA卓のHAを通っちゃうとPAの音になってしまうので、頭分けでもらって24chで録りました。編成は、ドラム、ベース、ギター、ピアノ兼ボーカル。その他に同期物のトラックが4chとパーカッションです。近藤夏子さんの場合は、ポップスのマルチ・レコーディングなので録りの段階でEQはせず、HAで芯のある音を録るのに終始しました。
http://www.mi7.co.jp/products/presonus/livesound_nobumasa.yamada_page3.php
音楽フェスやドームやアリーナクラスのコンサートになると「録音中継車」が出動するときもあります!
まさに動くレコーディングスタジオですね!
特にオデッセイは「録音中継車」。「車」ですから、日本中どこまででも走ります。
精密機器だらけのレコーディングスタジオを、丸ごと車に乗せて走っている状態です。
車自体にも揺れを軽減させる構造が採用されていますが、
機器を直置きにすると、どうしても車の振動を拾ってしまうため、
防振ゴムを入れて浮かせるなどの処置や、様々な工夫が随所に施されているのだそうです。
http://blog.hibino.co.jp/?eid=64
ライブハウスでもマルチでレコーディングできる!?
近年ではAlesisのマルチトラックレコーダーHD24を使ったレコーディングや、Protoolsシステム(PCベースDAWソフト)を使って、ライブハウスでもマルチトラックレコーディングが手軽に行えるようになりました。
一度きりの大切なライブを、長く聴ける音源作品に仕上げることも夢ではありません。
ライブレコーディングはより身近になってきました!
リハーサル中にも録音してみる
ねらい通りしっかり録れているかどうかの確認は非常に重要です。
客席にハンディレコーダーなどを置いている場合は、一度録音してみて試聴し、マイクの良いポジションをチェックしておきましょう。
ライブ中、MCなどはしっかりマイクで話す
ライブレコーディングをするということは、ステージ上のマイクで収音が重要です。
ライブ中のMCなども、ライブレコーディング作品として大切な部分です。
ステージ上で話す事は、しっかりマイクを口に近づけてしっかり話しましょう!
データの容量チェック
お持ちのハンディレコーダーでレコーディングする場合は、ライブ公演途中に「データ容量がいっぱいになった!」「電池が切れた!」なんてことがないように、空き容量に十分な余裕があるか事前に確認しておきましょう。
マルチトラックレコーディングの場合、ライブ当日に録音したオーディオデータは、一旦外部ストレージにデータを移し保管しなければいけません。
ライブの公演時間にもよりますが、マルチトラックの場合は長時間のオーディオデータになるので、その容量が合計30GB〜50GBになることも予測されます。
セルフで編集を行う場合は、自宅のDAWソフトを立ち上げオーディオデータをパソコンに読み込んだり、書き出したりの作業が必要になりますので、マイパソコンや外部ストレージの容量には余裕を持っておくようにしましょう。
ミックスの際、まずは位相のチェックから
ステージの上には何十本もマイクが立っています。
特にマルチレコーディングの場合、マイクに混在した音と実際のマイクとの音に多少のタイミングのズレが生じます。(これが位相のズレです)
これがズレたままだと、音が明瞭度が下がったり、うまく音のバランスがとれなくなってしまいます。(各パートの音が抜けてこない…など)
通常のレコーディングでは録音の段階で位相のチェックを行うのですが、ライブレコーディングの後でミックス作業する際は、まず位相のチェックをします。
ミックスを外部のエンジニアに依頼する場合にも気を配りたいところではあります。
マスタリングも重要
ミックスで仕上がった音源は、最終的な作業のマスタリングをされることをオススメします。
ライブの音源をより身近で体感するためには必要だと思います。
最後に
最近では動画サイトへの投稿などもお考えの方が多いと思いますので、ライブを録音する機会も増えていくと思います。
そして良いライブ音源を作るためには、会場のお客さんと共に盛り上がり、まずは最高のライブにすることを忘れてはなりません。
少しでも参考になれば幸いでございます。
ライタープロフィール
スタジオラグ
中尾きんや
スタジオラグスタッフ
ウェブサイト:https://www.studiorag.com
Twitter:kin_kinya